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240. クローズアップ・「無知の知の真実」 part25

・「無知の知」の誤解

日本に流布している「無知の知」という言葉。自分が知らないということを自覚しなさいという意味だが、実はこの「無知の知」と訳されたきっかけとなった「ソクラテスの弁明」には実は違ったニュアンスがある。

そこで、ソクラテス自身の語るところに依れば、あるとき仲間のカイレポンという者がデルフォイアポロン神殿で「誰よりもソクラテスより知恵のある者はいない」という神託を受けたことを聞いて、その意味を確かめなければならないと一念発起し、知恵があると思われる人を次々と訪ねていった。しかし、彼が訊ねた政治家、芸術家、職人はいずれも、本人たちは自分は知恵があると思っているが、本当は何も知らないのだとソクラテスは気づいた。

プラトン/田中美知太郎訳『ソクラテスの弁明ほか』1968 新潮文庫 p.21-22>

つまり、ソクラテスは「知らないことは知らないと思う」と言っており、必ずしも「知らないことを知っている」と言っているのではない。この「知らないことは知らないと思う」とはソクラテスの遠慮した言い方であり、ソクラテスと庶民の能力の違いはソクラテスは「知らないことは知らないと思う」と思っているところだけであると伝えたかったのだと思う。

「知らないことを知っている」と「知らないことは知らないと思う」は言おうとしていることは同じであるが、ソクラテスの弁明ではソクラテスの偉大さだけでなくソクラテスの人柄の良さを伝えたかったのだと思う。

(参照:「ソクラテス 世界史の窓」の「無知の知の誤解」より

https://www.y-history.net/appendix/wh0102-136.html